海が見えるカフェと農園【月見亭】

海を望む、港の古民家カフェ。

海が見えるカフェと農園【月見亭】
～小名浜・泉

いわき市の小さな港町。海沿いの街並み、細い道をすり抜けて歩く。段々畑、坂道、潮の香り。ふと上を見上げると、高台に古民家が見えた。あそこからの景色はどんなものだろう。高揚感からか、坂道を上ったからなのか…胸が高鳴るのを感じた。
その店は、中之作港を一望できるカフェ。たくさんの人の手で、空き家を再生させて完成した。畑で採れる野菜を中心にしたランチと、季節の果物のスイーツはお店の自慢。耳をすませば波の音が聞こえてくる。海を感じる特別な眺めが、ここにあった。

まるで一枚の絵のよう、窓から見える海。

窓枠に入りきらない雄大な海。気候や季節の変化で、いつも違う表情を見せてくれる景色は、かけねなしだ。きらきらと輝く水面や、はるか遠くの地平線を眺めていると、心も体もリセットするような感覚さえある。下では聞こえなかった波の音も、カフェからはよく聞こえると店主が教えてくれた。海がくれる癒しもまた、大きい。

涼しげなチーズケーキ

真っ白なレアチーズケーキの上には、季節のフルーツゼリーを乗せて。透き通る美しい見た目が涼しげだ。素材の味が生かされた上品なゼリーに、酸味が程よく効いたケーキが合う。ふんわり軽い口当たりでぺろりと一つたいらげた。

カフェの畑でとれる旬菜を使って。

この店では建物から食事、はたまた野菜まで手作りなのだ。自家菜園と地元で仕入れる野菜のランチはいつも人気。売り切れることもあるため、予約をとるのがおすすめだ。海と山が共存するこの町には、地形を生かした段々畑が多い。店を運営するNPOでは、畑を復活させる活動もしているという。

人と街をつなぐ、これから。

この建物は数年間、空き家だった。うっそうと生い茂る木々の中から見つけたのだという。街には解体危機が迫る古民家がいくつもある。こんな素晴らしい風景は失いたくない。目を向ければ、魅力を秘める家たち。移住を呼びかけるプロジェクトにも、カフェは携わっている。今後は、地域と移住する人とをつなぐ場としても活動を広げていくそうだ。

(取材：編集スタッフ たまちゃん)