金ちゃんラーメン

何度もすすりたくなるスープに、衝撃を受けた。醤油の味わいがじわりと広がり、すっと消えていくのだ。それがまたクセになる。「これがスープにも使用する水です」と、運ばれたコップ一杯のお水。透明度が高く、何ものも邪魔をしない、そんなお水だった。これもあって、出汁がストレートに抽出できるという。その旨味成分たっぷりのスープに、手もみ麺がよく合う。中太で、もっちりとした食感が嬉しい。また、すっきりとしたのど越しにも注目だ。縮れた麺がスープを持ち上げ、口の中で一体となる。そのバランスこそが、長年店主が目指した“飽きがこないラーメン”の真骨頂なのだろう。

そして、店主がこだわったものがもう１つある。それは「煮玉子」だ。作り始めた時は、キレイな形に剥けない卵に悪戦苦闘したという。せっかくツルっと剥けたと思えば、黄身の半熟具合に納得がいかずと、何度も何度も改良を重ねた。その思いが詰まった煮卵は、実に絶品。パンパンに貼った白身がはじけ、中の黄身がトロリと現れる。これとご飯だけでも食が進むに違いない。絶対に味わっていただきたいトッピングだ。

そして、次はいつ食べに来ようかと考えながら、スープを飲み干した。
（取材：小梅太夫）